第1章

6/17
前へ
/58ページ
次へ
不機嫌さを隠しもしないオミの様子にナオトはため息をついた。 『じゃ、あいつらが来るのをただ待つのか?迷子になってたら、あいつらいつになってもこねーぞ』 『…』 『どうしても嫌なら俺がするけど?』 ナオトはそう言ってオミに向かって手を差し出した。 『分かったよ!』 若干、キレ気味のオミ。だがオミは端末を操作して自分の耳に当てた。 端末から聞こえる呼び出し音がさらにオミのイライラを募らせる。呼び出し音が途切れた。その瞬間 『オミ?早く来いよー』 耳に届いたリュウジの第一声にオミの苛立ちが爆発した。 『てんめー、ふざけんな!』 いきなり怒鳴り声を上げるオミにナオトが驚いたように振り返る。 『オミ?何怒ってんの?』 『このバカが!』 怒りが収まらないオミの様子にナオトはまたため息をついた。ナオトはオミに歩み寄るとその手から端末を取り上げる。冷静さを欠いているオミでは話が進まないと思ったからだ。 『リュウジ?』 『ナオト?まだこねーのかよ?』 ナオトはリュウジの言葉に苦笑いを浮かべる。 『リュウジ、目印何だったか覚えてる?』
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加