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『目印?確か鉄塔だっけ?』
『じゃ、お前のいる所に鉄塔あるんだな?』
『…』
ナオトの問いかけにリュウジの言葉が止まる。多分周りを見渡しているのであろう少しの沈黙。そして
『鉄塔…ない…』
『ですよねー。つまり?』
『ここは待ち合わせの場所ではない?』
『よくできました。はい、ちゃっちゃっとこっち来い』
『…はい』
子供に言い聞かせるようにナオトが言葉を並べていくと、最初は威勢の良かったリュウジの声がだんだんと小さくなっていった。そして端末を耳から離した時
『ここじゃなかった!』
『やべ―じゃん!』
『マジかよ!』
慌てた三人の声が聞こえてきてナオトは笑いを堪えきれなかった。
『あのバカどもが!』
ナオトから端末を渡されたオミは声を荒げていた。
『連絡して正解だろ?』
『ああ』
オミはそう言うとナオトと一緒になって笑いだした。殺伐とした空気が和やかなものに変わる。
『あいつら、ナオキにメッチャ怒られんぞ』
『ざまー!』
ナオトが言うと、オミは嬉しそうににやりと笑った。
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