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ら、その人達に迷惑かけたくなかったら、肌身離さずあたしを近くに置いてね。
って感じかな?」
「ははは……、よく、分かったよ」
『あたしは、スグラと一緒に居ないとダメだから』
さっきの言葉の意味をようやく理解した。己が消えない為、スグラ自身の力の暴走を防
ぐ為、二人は一緒に居る事で、今まで上手く生きて来れていたのだ。
どちらかが欠ける事になれば、いずれは二人ともこの世から消えてしまうような、危う
さをずっと持ち合わせている事に気付きもしないまま、奇跡のバランスで今まで生き延び
てこれた。
もちろん、スグラを生かす為にフラカが存分に力を奮ってくれたのは疑いようのない事
実であった。
「……――お守り……かぁ……」
膝を抱えながら、空に浮かぶ月を眺める。
「どうしたの? どこか痛いところでもあるの?」
「いや……僕はいろんな人に、生かされていたんだなぁって……実感したところ」
「よく分かんない」
「……リリィにもありがとう。って言わないとダメだな。って事」
「……どう、いたしまして?」
首を傾げながらも律儀に返事がくる事に苦笑しながら、練石を続けようと別の小石を右
手で拾い上げる。
「リリィは後、何個くらい法玉が必要?」
「んー、あと二個くらいかな」
「分かった。」
もう一つ別の小石を左手で拾う。
「集中、集中……」
両手で握りこんだ小石に魔力を流し込む。腕の中を力が流れるイメージを浮かべ今の己
の姿に重ねていく。
カッ! っと白い光が両手の指の隙間から溢れ、周りを照らす。両手を開くと手のひら
には鈍色の石から光る法玉に変貌を遂げた物が二つ。
「よし。はい、リリィ。どうぞ」
リリィに手渡すと、そのまま口に含み、綺麗に飲み込んでしまった。
「ふぅ、ありがとね」
心なしか満足そうに見えるリリィの表情に、スグラも何故か安心していた。
「リリィ、知ってたら教えて欲しいんだけど、ここの祠って、何なの?」
この場所について、改めて何も知らない事が露見した。スグラが勉強不足だった事もあ
るが、長年守護者を務めていたコアードでも、人形の存在は知らなかったのだ。
伝承に伝えられている事以外に、別の理由でこの施設が建てられている可能性が強いと
思えた。
「んー、あたしが見た感じで言える事といえば……」
少し考え込んだ後に言葉を続ける。
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