第3章

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「人間からずっと魔力を吸い出して、貯め込み続ける【施設】……って言えばスグラは分 かり易いかな?」 「――魔力を、……貯める?」  背筋が冷たくなるのを感じた。 「巫女さんがここの【施設】で魔力を吸い出される道具とされて、祭壇に近づく事で随時 魔力吸収して行く感じかな。大きな球体の【法珠】があったでしょ?  あれは【施設】が巫女から吸う力を増幅させる装置だったの」 「……ぐっ。」  奥歯を噛みしめる。村を守る伝統だと思っていたものが、村民を騙してそんな事をして いただなんて……。 「その【法珠】にスグラが触っちゃったから、壊れちゃったんだね。そしてスグラを襲っ たキリングドールは文字通りここの祠の『守護者』として、攻撃を仕掛けて来た。  【法珠】を破壊したのはスグラだったから、狙われていたのはスグラだったんだよ。  巫女さんは【施設】と契約をしていたから、が魔力が底を尽きそうになった時、キリン グドールは巫女から直接、魔力を吸おうとしたんだ」 「あっ」  人形がリリィに捕まれた時に突然クニルが倒れた光景が浮かんだ。 「ま、その契約もスグラの力で強引に切ったんだけど……」 「……クニルとこの祠との契約? は解けてるって事?」 「そういうこと。あの子は安全だよ」 「はぁっ、……良かった……」  今は意識が戻っていないという話だけは聞いていた。もしかしたらこのまま目を覚まさ ないのではないかと不安で一杯だったのだが、リリィの解説のおかげで、肩の荷が下りた 気がした。 「話、続けてもいいかな?」  リリィが真っ直ぐな視線を向けて来た事に少しドキリとする。 「う、うん」 「大体の説明はさっき言った通りなんだけど、一つ疑問が残るんだよね。ここからはあた しの推測も入っているんだけど……この祠にはまだ何か隠されていると思っていいよ」  また、背筋が冷たくなるのを感じた。 「魔力を吸収する装置は破壊した。【宝珠】だね。  ここの祠を守る『守護者』であるキリングドールも倒した。でもまだ、見つけてないも のがあるよ」 「……それは……まさかっ」 「そう、魔力を貯める装置」 「いや、でもそれはあの人形の中に直接魔力が貯まっていたんじゃ……。」 「それだったら、あたしがエネルギーを吸ったくらいじゃ、止まらないと思うんだ。現に 巫女さんから魔力を吸おうとしていたし」 「あ……」
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