第3章

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 確かにあの時、人形はクニルから魔力を吸っていた。そのせいでクニルが倒れてしまっ たのだから間違いない。 「つまり、ここの祠には、まだその装置が残っている可能性が高い」 「そういう事に、なるのか……」 「そうだね。それに、魔力を貯める装置っていうのはとても貴重なんだ。欲しがる輩は世 の中に沢山居ると思っていい。そういう意味ではスグラの能力がいろんな人に知れ渡った ら皆、いろんな人達が血眼でスグラを探すんじゃないかな?」 「怖い事、言わないでよ……」 「くすくす。話を少し戻すね。今、この祠はとても高価で価値のある物が眠っている可能 性がある。そして、それを守る者も居ない。しかもその祠が祭られている村民すらその事 を知らないっていう状態なんだけど……」 「それって……危なくない?」 「うん、今ここは控え目に考えて……とんでもなく危険な状態だよ。この事が賊何かに知 られたら、すぐにでも襲撃されるだろうね」 「くっ……! すぐにコアードさんに知らせないと」 「……あたしは、今すぐに、誰かに知らせる必要は無いと思うな」  意外すぎる一言で、思考が一瞬止まる。 「……え?」 「逆に考えると、今この考えまで行き着ける人間がほぼ居ないんだよ。その事を誰かに喋 ってしまうと、そこから漏れる可能性があるんじゃない?」 「つまり、リリィは……どうしたいの?」 「ん? あたしはただ、存在するだけで危険な代物だっていうなら……誰かが気付く前に 持ち出すなり、壊すなりしちゃえばいいって思ってるよ」  とんでもない事を言い出すリリィ。 「それは、発想がすごく強引で過激すぎるような気が……」 「見つけ出すのは難しくないと思うし、壊すだけならスグラは適任だし、大丈夫だよ。何 も問題ないって」 「って……待って、もしかして……リリィは今からそれを探そうって言ってる、の?」 「お、察しがいいね。さすがスグラだ。」  期待に応えてくれて嬉しい! ……みたいな満面の笑みを向けられるが、まったく嬉し くない。 「大丈夫だって。今だって周りに人は……。祠の表の入口の門の所に一人誰か居るね。こ れは……あのおじさんかな?」  すらすらと口から出てくる単語に唖然とするしかないスグラ。 「……そんな事まで分かるの?」 「あたしの力で、今の状態なら……そうだな、五〇〇メートルくらいなら生き物と魔力な ら探知は出来るんじゃないかな。
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