第3章

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「あのなぁ……基礎の基礎である術も出来ないようじゃ、一般人と同じだっての。時間の 無駄。お前はお前にしか出来ないものがあるんだから贅沢言ってんじゃねぇーよ」 「けちー」 「いいか、お守りだ。お前を守ってくれるものだ。大事にしろよ」 「ちぇー。はぁい」 「スグラ、お前シアンとキュレどっちが好きだ?」 「どっちも好きー」 「あらら、意外と大物になるかもな……」 「師匠、何言ってるか分かんなーい」 「まぁあれだ……鍛錬は二人の姉ちゃん達ともガンガンやれよ」 「僕もシアンとキュレと一緒にやっていいの? 魔術出来ないよ?」 「お前は魔術を受ける側の人間なんだよ。 全部受け止めきっちまってて、あの二人に参 ったって言わせてやれ」 「喧嘩はよくないよー」 「ばか、違えよ! いざとなったらお前がアイツ等を守れるくらい強くなれって事」 「うん、大丈夫。僕皆を守るよ」 「よしよし……。そんでもってそのお守りだが……。  もし壊れたりしたらすぐに俺に見せろよ。すぐに直してやるよ」 「でも、師匠ー。師匠が家に居ない時はー?」 「その時は……――」 ▼△▼△▼ 「スグラ! ねぇ! スグラったら!」  聞き覚えのある甲高い声が耳元で響く。 「……う、うーん」 「スグラ! ああ、よかった……。目が覚めたのね。……みんな無事でよかった……」  キュレが涙目になっている。 「みんな……? ん……あ、そうだ! シアンとクニルは?!」 「大丈夫、無事よ。一番ひどいケガしてるのはスグラなんだから」 「へ? 怪我? いっつぅ……」  両腕に鋭い痛みを覚える。恐る恐る視線を降ろすと両腕とも包帯でぐるぐる巻きにされ た状態だった。  力を込め動かそうとしたが、だらんとしたまま自分の意思を聞いてくれる様子はない。 「くぅ、ダメか……。キュレ、シアンとクニルの様子はどうなの?」 「シアンは意識を取り戻してる。少し怪我してたみたいだけど大丈夫、今は隣の部屋で寝 ているはずよ。クニルさんは、まだ寝たままよ。  衰弱してる様子らしいんだけど、身体に異常は無いみたいだから、そのうち目を覚ます だろうってコアードさんが言ってたわ」 「そうか、少し安心した……って、あれ……ああ……リリィ……!」 「リリィ? 誰? ……そんな名前の子、この村に居た?」 「ええと……、そうだ、僕が倒れていた辺りに人と同じくらいの大きさの人形が落ちてな かった?」
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