第3章

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「見た目はだいぶ変わってはいるが、こいつがあの……スグラ達を襲った人形なのは間違 いない。どういう原理で動いているかは全くもって分からんが、壊す事も燃やす事も出来 ん。 魔術的な何かで動いている事は間違いないんだけどな……。  ゴニアの奴に聞いてみても、何かは知らないと来たもんだ。俺らではもうどうしようも ない代物だな……。  せめてこんな時に、フラカの野郎が居てくれると良かったんだが……」  ボスッ……ドシャッ……ジャッ……。  何か身体の上に被せられてる? ちょっと重いんだけど。 「あのリリィとか言ったか、あいつがこの人形の事を知ってるようだったんだが、居なく なったヤツの事を言ってもしょうがないんだがな……」  いるよー。あたし、リリィだよー。って何で声出てないの? 「せめて、すぐに危険な状態になるのは避けたいんだよ」 「うん、だから埋めるんだね」  ん? 今、埋めるって言った? そういえば何か土臭い……。 「ああ、いつ急に動き出すかも分からん。しばらくは祠には誰も近づけさせないようにせ んとな」  ボスッ……ジャリッ……ドスッ……。  重い、重いって……あ、ちょっと光が見えてきたような……。  ドシャッ。  ああああ、一瞬で真っ暗に……。やっぱり、埋められてる?  って、口に土が入った! ざりざりしてるっ! 「……むー」 「ん? オル、今何か言ったか?」 「何も。」  どんどん二人の声が遠くなって行ってる。うーむ……この状況はあんまりよろしくない な。身動きが取れないのは辛い。  ただ、感覚は戻って来てるみたいだし……あたしが動けるようになれば、こんな土くら い……。  ってあれ? これ手足縛られてない? んんんんっ!! 全然外れそうに無いない。  マズイ、これは非常にマズイ……。どうしよう、どうしたら……。 「スグラ……助けて……。一人は、もうイヤだよ……」  真っ暗な世界で、今更たった一人で生きていける自信なんて無い。 ▼△▼△▼ 「コアードさん! オルさんも……」 「どうも」 「おおっ! スグラ! 身体はもういいのか?」 「ええ、何とか。……それよりも、リリィを見ませんでしたか?」 「リリィ? ここには人形しか居なかったぜ」 「……その人形は?」 「たった今、そこに埋めたところだが?」  背後にコアードの親指で示された先には、コアードの身体よりさらに大きな岩が鎮座し ている。
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