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もっとも、オカルトクラブにとっては事故、事件など関係ない。世間一般的にオカルトと呼ばれていることが本当であるか、どうか。それが、重要なのだ。もし、それが事実だというのならば、是非ともカメラに収めたいと思っていたところだ。
「初代部長、諏訪優香先輩は噂では数々の怪事件を解決してきただけではなく、本物の幽霊に会ったことがあるとまで言われています。創立から二十五年以上を誇る伝統あるオカルトクラブの精神を引き継いだ私達としては、一度ぐらい幽霊を写真に収めないと」
オカルトクラブを創設した初代部長である、明日香の母親、諏訪優香の伝説は今でも語りぐさのように伝わっていた。後継者ならば、それを達したいと思うものだ。
「それで、亜華火さん、どうやって幽霊を撮影するのですか?」
「そこなのよ。幽霊はカップルを見つけると、襲ってくるのでしょう」
「はい。ただ、カップルというのが大雑把ですよね」
なんだか、二人の会話が芝居じみてきた。まるで、舞台の上で台本を読んでいる素人のように。
「私が思うに、仲がいいカップルが狙われるというのがポイントだと思うの」
「確かに書いてありましたね」
「そう!だから、仲の良いカップルが必要なのよ。オカルトクラブの活動を成功させる為には」
「でも、そんな都合良くいますか?仲にいいカップルなんて」
「・・・いるじゃない!今、まさに模歌水族館に行こうとしているカップルが!」
「ああ!いましたね!」
二人は確信犯だ。自分達がこれからやろうとしていることを部活動の一環として成立させようとしているのだ。
「デート中のソーヤには悪いけど、囮になってもらわないと、最近、部活がご無沙汰とはいえ、オカルトクラブの一員ですもんね」
「そうですよ!今日は、オカルトクラブの活動日!部員としては協力してもらわなくては!」
こじつけのような理由を二人は作り上げ、堂々とソーヤと静佳のデートをサポートするつもりでいた。
「よし!『ソーヤのデートを成功させて模歌水族館の幽霊をカメラに収める作戦』、略して『ソーヤデート作戦』開始よ!」
「はい!」
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