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今まで、彼女はそれなりに居たのは渚も知っていた。
夫と弟は渚との関係を抜きに仲が良いから、詳細はともかく居る居ないくらいは正確な話が判る。
「ずいぶん年下の子。多分、元生徒だと思う」と夫に言われて、思い切り「本当?」と聞き返した。
付き合ってそんなに経ってないはず。
あんた彼女居ないでしょ、と店に週末に夕飯を食べに来た弟に言ったのは二ヶ月ほど前だっただろうか。
定期的に来る弟は、考えてみたら、その話をしてから来ていない。
二ヶ月も姿を見なかったのは、今までに無かったことだ。
大抵週末のどこかではタダ酒を飲んでる所を見ていたから間違いない。
…それにしたって、と渚は視線を店の奥に投げる。
つい先ほど、弟とその彼女が居た場所。
付き合って間もない彼女を実家に連れてくるなんて珍しい。
今まで、中学の頃の彼女を別にしたら、実家に彼女を連れてきたことなんて無かったのに。
相手があんまりにも若い子だから、逃げられないように外堀でも固めてるのかしら…そんな事を思ってしまうくらい意外だった。
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