episode4 もしも、あの頃

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「…言ってない、誰にも。 あの頃バレても絶対に言わなかっただろな」 くしゃくしゃと髪をなでる手と、告げられた言葉に安堵の吐息を漏らして、きゅっと唇を噛んだ。 真一郎の所に、翠が行くようになった理由。 辛くて悲しい、だけど二人を結びつける、真一郎が誰にも言わずに守ってくれた翠の秘密。 「ね、先生」 真上を見上げると、真一郎の大きな手が頬を包み込んでくれる。 眼鏡の奥の瞳を見つめて、意を決するように一息ついた。 「なんだ?」 「先生は…あの頃も、付き合ってもいいと思ってた?」
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