俺の独り事

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俺には、双子の弟がいます。名前は恭介と言います。一卵性なのですが、二人とも特徴があって、あまり間違えられることはないです。恭介の目元にあるほくろは、特にかわいくて色っぽくて、たまに触らせてくれます。 恭介は俺が先に母親のおなかの中から生まれたと思っているようなのですが、母親は俺にだけこっそり教えてくれたことがあります。それは実は先に生まれたのは、俺ではなく恭介だということです。何故俺にだけその子を教えてくれたかというと、恭介は生まれた時に声を出さなかったそうです。俺の初声だけが分娩室中に響いていたそうです。それからのことはあまり詳しくは教えてもらえませんでしたが、母親は夜になると必ず「恭介は体が弱いから、響一、お父さんやお母さんに何かあったらね、あなたが恭介を守ってあげるのよ。」と、毎晩のように枕元で言ってきました。
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