天才と劣才

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外に出ると、さっきの部屋の張り詰めた感じはなく、穏やかだった 解答を提出する。結果は期待していない。学力なんかなくても生きていける気がするっていうか、昔の人は今の人間程学力なんかにこだわっていなかったと思う。 「篠田翔央さん」 結果を確認・・・・するまでもないか 俺の番数は最下位に決まっているから モニターに番数が表示されると同時に 「また最下位同じ人じゃん!」 俺のことか。 【お前はおちこぼれだ。】 そう学校の教師に言われたのを思いだした。 ここは居心地が悪い。家に帰ろうかな。 着信音が聞こえた。母さんからだった。 「もしもし。」 「翔央?終わったの?」 「うん」 「また…?」 「うん…」 「気にすることなんてない。学力では測れないよさがあなたにはあるっていつもいってるでしょ。」 「でも…」 「早く帰ってきてね。」 母さんは落ちこぼれの俺を決して怒ることなく、女手一つで育ててくれている。 電話を切ると何故か悔しかった。
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