始まりの男

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「こっから どないしよう?」  何れにせよ、先ず人を見つける必要が有る。  助けを求めなければならない。  それに何時までもこんな所に居たくないし居るつもりも無い。  そうすると移動しなければならない訳だが、周りを見渡せば、有り得ない程巨大な木々、その木の幹は直径5mは有ろうか、こんな深い森に入れば道に迷う可能性が高い、加えて水の確保が難しくなる。  何処とも知れないこんな場所で、野垂れ死にしたくは無い。 ならば川沿いに移動する事に成るが、登るか下るか、ソコが問題だ。  下った場合、崖や滝に行き当たれば進め無くなるし、歩ける場所が川沿いに続くとも限らない。  しかし、登る訳にもいかない。  途中で川が途切れるのは自明の理、そうなれば結局、道に迷うだろう、加えて体力も消費する、こんな時は体力は可能な限り温存したい。  どちらが安全か、暫く悩んだ後男は覚悟を決め、呟く。 「下るしか無いかぁ」  そして必要な物を整理する。 「先ずは・・・」  足元を見て呟く。 「履く物・・は草鞋なら作れるか?・・ロープも要るかなぁ?夜は冷えるかも知れんし、蓑と火熾し(ひおこし)も拵えるか・・」  草鞋以外は、あの時のキャンプで得た知識だ。 「まさか、こんな事になるとはなぁ」  こんな事態に巻き込まれるとは想像も出来なかった。  取り敢えずの方針が決まる。  その後、悪戦苦闘しつつ何とかナイフの様な物と石斧の頭の部分が出来た。  かなり不恰好な出来だったので、男には不満足では有るが、暫く振りなので、 致し方ないだろうと、自身を納得させる。  この間、七回程しこたま手を打った。  やや腫れた手を、プラプラ振りながら呟く。 「あたたた、まぁ久し振りやし、ラッキーセブンっちゅう事でなんかええ事有るやろ・・有ったらええなぁ・・」  と意味不明な事を言う、しかも、結構ネガティブになっている。  ブルブルッと頭を振り、ネガティブな思考を振り払い、気を取り直して取り敢えずの行動を決める。
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