一章 偽の平和と盗賊達の宴

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「背を向けて逃げ出したところを斬り伏せてやるつもりだったんだが。」 「え。」 「力の差を感じて、それでも立ち向かおうとしたその勇気と気概は認めてやる。」 聞かされた思惑と、予想もしない評価に、セレスは固まってしまった。 容赦されたことを改めて実感する。 「こらー!!あんた達いい加減に止めなー!!」 ふと、誰か女性の叫び声がその場に響いた。 やがて、声の主が野次馬の輪を掻き分けてセレス達の前に現れた。 「なんだい、騒ぎは無事収まった後かい?」 「あぁ。そんなところだ。」 二人を見るや否やそう尋ねた女性に、青年はやれやれ、という様子でそれに答えた。 「そうかい。…ならあんた達はさっさと解散しな!仕事終わってないだろう!?」 女性が一喝すると、野次馬達はぞろぞろと散っていく。 どうやら町ではちょっとした人物らしい。
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