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この世界はかつて、魔王による恐怖に包まれていた。
しかし、ある若者が立ち上がったことにより、それは変わっていく。
少しずつ、人々は希望を抱き始め、若者は勇者と呼ばれるようになった。
勇者は各地を巡り、五人の仲間を得た。
そして勇者達は遂に魔王を打ち倒し、人々に平和を齎したのである。
…これがこの世界で受け継がれている筈の物語だ。
しかし、俺は今の世界が平和だとは思えない。
だってそうだろ?
魔王が居なくなり、魔物の脅威は去り、それでも人間て奴は、未だに飢え、争う。
所詮、大して何も変わってはいないのだ。
世界っていうのは、常に理不尽な選択を強いる。
そうして、辿り着く先には、悪者にする奴とされる奴。
ずっと変わらない。
そう、今だって…。
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