一章 偽の平和と盗賊達の宴

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             この世界はかつて、魔王による恐怖に包まれていた。 しかし、ある若者が立ち上がったことにより、それは変わっていく。 少しずつ、人々は希望を抱き始め、若者は勇者と呼ばれるようになった。 勇者は各地を巡り、五人の仲間を得た。 そして勇者達は遂に魔王を打ち倒し、人々に平和を齎したのである。 …これがこの世界で受け継がれている筈の物語だ。 しかし、俺は今の世界が平和だとは思えない。 だってそうだろ? 魔王が居なくなり、魔物の脅威は去り、それでも人間て奴は、未だに飢え、争う。 所詮、大して何も変わってはいないのだ。 世界っていうのは、常に理不尽な選択を強いる。 そうして、辿り着く先には、悪者にする奴とされる奴。 ずっと変わらない。 そう、今だって…。
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