一章 偽の平和と盗賊達の宴

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「私はこの町の用心棒よ!あんた達盗賊が悪さをしてるって聞いて、こうして警護してるってわけ。」 待ってましたと言わんばかりに答えた少女に、 「用心棒?お前みたいな子供がか?」 しかし青年は呆れた声で言う。 すると、周りからも勝手にそう言ってるだけだ、単なるごっこ遊びだ、等と野次が飛び交う。 どうやら町の住人も、少女の行動に対して少なからず迷惑しているらしい。 少女は頬を染めながら野次馬達を怒りの目で見渡して、 「外野は黙ってなさい!…私はもう十六よ!それに…そのお前呼ばわりは止めなさい。私にはセレスっていう立派な名前が有るんだから!」 一言怒鳴るとすぐ、青年に向き直してそんな言葉をぶつけた。 その反論が既に子供みたいなんだが。それに、俺から見れば十六でも充分子供だ。 敢えて口に出さず、心の中で呟いた青年だったが、ついつい鼻で笑ってしまった。 そのせいで、セレスと名乗った少女の怒りは火に油を注いだように燃え盛る。
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