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まともな武器を持ち歩くなんてますます怪しい!
心の中で叫び、セレスは再び斬りかかろうと足に力を込める。
しかし。
「俺が勝った場合は…あらゆる恥を覚悟しとけよ?」
綺麗な顔立ちからは考えられないほどの冷たい声に、セレスは身体中に悪寒が走ったのを感じた。
辺りの野次馬もそうだったらしく、先程までの馬鹿騒ぎが嘘のように静まった。
危険だ…!
その場に居る誰もが思った。
セレスも、自分が怒らせてはいけない何かの逆鱗に触れたことを感じ、少しずつ後退る。
「行くぞ。」
青年が短く言い放つ。
それを聞いて、セレスは何とかやり過ごそうと構え直した。
が。
「…っ!?」
一瞬だった。ほんの一瞬で、青年は距離を詰めセレスの目の前で斬りかかる体勢に入る。
あぁ、やられる。
その動きがスローモーションのように見えた瞬間、セレスはそれを覚悟した。
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