一章 偽の平和と盗賊達の宴

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辺りの野次馬達が再び騒ぎだした。 情けないだの、調子に乗るからだ等と好き放題に言っている。 セレスはごしごしと目を拭って立ち上がった。 文句を言うつもりは無い。 否定をする気も無い。 勇んだ結果がこれなのだから仕方が無い。 ゆっくり、冷静に考えながら顔を伏せたセレス。 しかし。 「うるさいぞ、外野。」 不意に青年が言った。 その声には、明らかに苛立ちが込められている。 「仮にも。この町を守ろうって人間に対してお前等何だ?」 辺りをぐるりと見渡しながら青年は続ける。 「俺を止めるどころか、傍観しかしなかった連中が、対峙し続けた人間を罵倒とは何事か!」 一際大きな声で青年が怒鳴ると、野次馬達は静まった。 ふん、と鼻で笑ってすぐ、青年はセレスの方へ向き直す。
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