01.

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初めてみたのは、入学式。 壇上で話す姿だった。 笑顔だったのは覚えているけど、なにを話していたかなんて、もう覚えていない。 特に印象に残ることもなく過ぎた初対面。 それがいつからだったのか。 その姿を、目で追うようになっていったのは。 ××××××××××××××××××××××××××× 「悠くん、なに見てるの?」 「一紀。」 話しかけてきたのは、クラスメート。 小柄で、でも気が強い、頭の切れる奴だ。 「ははーん、また、今村さんでしょ。」 「…ちげぇし。」 鋭いし、人を揶揄うのを生きがいにしてるようなやつだから、素直に答えるのを躊躇う。 良いやつではあるんだけど。 「どこがいいんだか、あんなアホそうなやつ。」 「…オレもそう思う。」 吐き出されたのは、本心。 でもそれと同時に、それだけじゃないんだと心の中で反論するオレもいて。 …ほんと、嫌になる。 ーー初めて会話したのは、入学してから数日後。 帰ろうと廊下を歩いてる時に呼び止められた。 「ごめん、ちょっと手伝ってくれないかな?」 大量のプリントを持って困ったように笑うあの人。 それが、最初。 それからプリントを運ぶのを手伝って、帰ろうとした瞬間、あの人がつまづいて紙をぶちまけた。 不本意にも全部拾い集めて、ホチキス留めまでする羽目になった。 なんでオレがってイライラしていたんだけど。 終わった後に、ありがとうって笑ったあの人が。 無邪気すぎて毒気を抜かれて、なにも言えなかった。
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