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「無理でしょ。」
バッサリ言ってのける一紀。
「なんだかんだで悠くん、手伝い楽しそうだし。今村さんの話する時、顔緩んでるし。」
「うっ…、」
「諦めようと思って諦められるもんじゃないでしょ。きっかけないと。
それこそ、振られでもしない限り。」
「ふ、振られ…って、別に云うつもりなんかねぇし!」
ちょっと想像して凹んだじゃねーかっ
「だからって、忘れるために他の子と付き合う、とか悠くん無理じゃん。」
「…相手の子に悪いだろ。」
「顔に似合わず真面目なんだからー。」
「どういう意味だっ」
「モテるのにってこと。選び放題なのに。
…ほら、噂をすれば。」
一紀が指差した先を見れば、ひとりの女の子。
それと同時に、あの子が呼んでるぞってクラスメートに声を掛けられる。
「待ってるから、行って来なよ。」
ひらひら、手を振って見送る姿勢。
オレの答えなんか分かりきってるって顔。
…ほんと、やり辛い。
×××××××××××××××××××××××××××
「好きです!」
付いてきてみると案の定、告白だった。
ふと考える。
一紀の言葉。
確かに、付き合ってから好きになることもあると思う。
緊張した顔で見上げる女の子は、普通に可愛い。
同年代の、異性。
隠す必要もない、堂々とした恋愛。
きっとそれが普通で、当たり前のこと。
それでも…。
「…ごめん。」
気付いたら、そう答えていた。
その時浮かんだのは、先生の笑顔だった。
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