01.

5/8
前へ
/26ページ
次へ
「無理でしょ。」 バッサリ言ってのける一紀。 「なんだかんだで悠くん、手伝い楽しそうだし。今村さんの話する時、顔緩んでるし。」 「うっ…、」 「諦めようと思って諦められるもんじゃないでしょ。きっかけないと。 それこそ、振られでもしない限り。」 「ふ、振られ…って、別に云うつもりなんかねぇし!」 ちょっと想像して凹んだじゃねーかっ 「だからって、忘れるために他の子と付き合う、とか悠くん無理じゃん。」 「…相手の子に悪いだろ。」 「顔に似合わず真面目なんだからー。」 「どういう意味だっ」 「モテるのにってこと。選び放題なのに。 …ほら、噂をすれば。」 一紀が指差した先を見れば、ひとりの女の子。 それと同時に、あの子が呼んでるぞってクラスメートに声を掛けられる。 「待ってるから、行って来なよ。」 ひらひら、手を振って見送る姿勢。 オレの答えなんか分かりきってるって顔。 …ほんと、やり辛い。 ××××××××××××××××××××××××××× 「好きです!」 付いてきてみると案の定、告白だった。 ふと考える。 一紀の言葉。 確かに、付き合ってから好きになることもあると思う。 緊張した顔で見上げる女の子は、普通に可愛い。 同年代の、異性。 隠す必要もない、堂々とした恋愛。 きっとそれが普通で、当たり前のこと。 それでも…。 「…ごめん。」 気付いたら、そう答えていた。 その時浮かんだのは、先生の笑顔だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加