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「あー、一紀、怒ってるかな…。」
結構時間がかかってしまった。
泣き出すんだもん、あの子。
やっぱり、断る瞬間は苦手だ。
でも、あの子の姿がいつかのオレに重なってるようで、ほっとけなかった。
あーもう、ほんと、やっかいだ…。
「ごめん遅く…、え?」
教室のドアを開けると、そこに一紀はいなくて。
いたのは、今村先生だけだった。
「先生?どうしたんですか?」
まさかここで会うとは思わなかったから、少し緊張する。
「見回りで。まだ残ってる人がいるみたいだったから。」
「え!すみません。さっさと出ます。…あと、一紀、いませんでした?」
「町田くんなら、さき帰ったよ。」
「は?まじっすか?」
あいつ…待ってるって言ったくせに、薄情な…。
…オレもさっきの告白でだいぶ気力使ったし、さっさと帰ろう。
オレが残ってたら先生も帰れないだろうし。
「えっと、じゃあオレも帰ります。すみませんでした、遅くなって…。」
「オレはさ、」
教室を出ようとすると、先生が話し出した。
振り返ると、真っ直ぐこっちをみる瞳。
いつになく、らしくない真剣な表情。
…先生?
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