日*いつも通りにはいかないものだ

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水曜日の朝。俺は起きた後、いつも通り二階から荷物を持って下の部屋へと降りた。何も変わることの無い一日の始まりだ。 朝食を終え、準備をして、着替える。唯一違ったのはいつもより遅く家を出た事だ。それが最大のミスであった事を俺はまだ知らない。 家から4、5分で着く距離。奴が来るのは7:40頃なはずだ。 いつもの道を歩き、交差点へ出るまでの数十メートルへと差し掛かった時の事だった。俺は建物の陰にいたため、交差点右後方から奴が来たのが見えず、その上(こんなに早く来るはずがない)という油断から、奴を認識する反応速度が遅れた。 「…私もなめられたものだな」 そう言っているかのように走り抜けて行く。 ーーー!まずい! 距離30メートル。追い掛けるが、足場の悪い道路状況といつもより重く、数の多い荷物が自分の走りを阻む。開く距離。進まない足。 まもなく、いつもなら奴が足を止めざるを得ない場所、俺の最終目的地に着く。 ーーー…最後の砦。 奴に追いつくにはもう、そこしかない。もし、その場に奴の足を止めるようなトラップがあれば、まだ勝機はある。だがそれは必ずではない。 ーーー…運だ。 もう後がない。これを逃せば俺の敗北は決する。 チャンスは…あるのか、無いのか。 走り続けながら、先を見つめる。 視界に入るのは奴の背中だけだ。
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