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――――…どうなる、
奴が最終地点に差し掛かった。
――――ッ! 止まらねぇ!
奴は嘲笑うかのように走り去った。
今度こそ間に合わない。奴の背中が遠のき、見えなくなる。
勝負は決した。
「……俺の負け…か。」
さっきまで近くにあったエンジン音は消え、辺りは静寂に包まれた。
いつの間に降り出したのか、しんしんと、雪が空から零れ出す。
――――こうなったら、仕方がない…
俺はどうするかを決め、コートのポケットから携帯を取り出すと電話をかける。
――――…もしもし、どうした?
聞こえてくる、声に。
「…それが、『バス』乗り遅れた!!」
――――
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…遅刻という名の敗北。世の中そんなに甘くはない。
後悔はしていない、何故なら、こうなってしまった原因は大体分かっているからだ。今日の勝負には悪条件が揃い過ぎた。
明日はこうはいかない、二度も同じ失敗を繰り返す気はさらさら無い。
…次の勝負は、明日。
俺はこれからも『バス』(奴)と戦い続けるだろう。
完
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