第1章

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男性と茉莉が部屋に入ると、キングサイズのベッドに一人の老人が眠っていた。 その周りを囲むように、四人の男性が立っていた。 「琉嘉(るか)、茉莉をそこの椅子に座らせなさい。」 「はい、お父様。」 茉莉を此処まで抱えてきた男性ー琉嘉は、茉莉を「お父様」と呼んだ男性の側にある椅子に座らせた。 茉莉が椅子に座ると、「お父様」と呼ばれた男性が茉莉と目線を合わせるよう蹲った。 「茉莉…本当に良かった。」 その男性に優しい声で囁かれ、茉莉は抱き締められた。 何故彼らが自分の名前を知っているのだろう? 「あの、誰ですか?」 男性が自分から離れたときに、茉莉はずっと抱いていた疑問を彼にぶつけた。 途端、男性は驚愕に顔を歪ませた。 茉莉は戸惑い、周りを見ると皆同じような表情だった。 「茉莉、もしかしてお前は…琉嘉、どういうことだ?」 「分かりません。ただ、俺が行った時にはもうこの状態でした。」 「すまなかったな。一番辛いのはお前なのに…」 「いえ、お気になさらずに。」 「あの…」 茉莉は状況が把握出来ず、目の前の男性に助けを求めた。 「あぁ、放っておいてすまないね。私は鳳 統(おおとり すめる)。今日から茉莉のお父様になるんだよ。」 統と名乗った男性はとても若々しく、顔立ちも整っており、父と呼ぶにはあまりにも不釣り合いだった。 「そして左から順に煌(あき)、静(せい)、献兎(たけと)、琉嘉だ。皆私の息子だよ。茉莉にとってはお兄様だね。」 「お兄さま…?」 茉莉は小さく首を傾げた。 「そうだよ。献兎と琉嘉は執事の仕事もしているから、困ったことがあったら二人に言いなさい。」 「えっと、ぼく…」 「今日から茉莉は私達の家族だ。沢山甘えていいからね。」 そして父と兄達は優しく茉莉に微笑んだ。 次第に茉莉の表情も緩んでいった。
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