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男性と茉莉が部屋に入ると、キングサイズのベッドに一人の老人が眠っていた。
その周りを囲むように、四人の男性が立っていた。
「琉嘉(るか)、茉莉をそこの椅子に座らせなさい。」
「はい、お父様。」
茉莉を此処まで抱えてきた男性ー琉嘉は、茉莉を「お父様」と呼んだ男性の側にある椅子に座らせた。
茉莉が椅子に座ると、「お父様」と呼ばれた男性が茉莉と目線を合わせるよう蹲った。
「茉莉…本当に良かった。」
その男性に優しい声で囁かれ、茉莉は抱き締められた。
何故彼らが自分の名前を知っているのだろう?
「あの、誰ですか?」
男性が自分から離れたときに、茉莉はずっと抱いていた疑問を彼にぶつけた。
途端、男性は驚愕に顔を歪ませた。
茉莉は戸惑い、周りを見ると皆同じような表情だった。
「茉莉、もしかしてお前は…琉嘉、どういうことだ?」
「分かりません。ただ、俺が行った時にはもうこの状態でした。」
「すまなかったな。一番辛いのはお前なのに…」
「いえ、お気になさらずに。」
「あの…」
茉莉は状況が把握出来ず、目の前の男性に助けを求めた。
「あぁ、放っておいてすまないね。私は鳳 統(おおとり すめる)。今日から茉莉のお父様になるんだよ。」
統と名乗った男性はとても若々しく、顔立ちも整っており、父と呼ぶにはあまりにも不釣り合いだった。
「そして左から順に煌(あき)、静(せい)、献兎(たけと)、琉嘉だ。皆私の息子だよ。茉莉にとってはお兄様だね。」
「お兄さま…?」
茉莉は小さく首を傾げた。
「そうだよ。献兎と琉嘉は執事の仕事もしているから、困ったことがあったら二人に言いなさい。」
「えっと、ぼく…」
「今日から茉莉は私達の家族だ。沢山甘えていいからね。」
そして父と兄達は優しく茉莉に微笑んだ。
次第に茉莉の表情も緩んでいった。
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