第1章

8/9
前へ
/15ページ
次へ
「あの…そこでねている人はだれですか?」 茉莉が尋ねた途端、父と兄達の顔が強張った。 「この方は鳳 秀(ひいず)。茉莉のお爺様だよ。」 茉莉が物珍しそうに老人を凝視していると、異変に気付いた。 老人の顔が異常に青白いのだ。 「この人、しんでるの?」 「そう。昨夜寿命を終えたんだよ。さぁ、今日は疲れただろう?ゆっくり休みなさい。琉嘉、茉莉を部屋に案内しなさい。」 「承知しました。」 「あの、ありがとうございます。父さま、兄さま。」 そして茉莉は六年振りに向日葵のような笑みを彼らに向けた。 再び琉嘉に抱き抱えられ、茉莉は琉嘉と共に自室へ向かった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加