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《日向side》
かすみと僕は幼なじみ。
田舎から2人で東京の同じ大学に合格し、僕らの両親の悪巧みで近所に住む事になった。
気が付けば、社会人になった今でもで徒歩5分の所へ住んでいる。
恋多きかすみは、捨てられては傷付いて、傷付いては自分に傷を与える。
どうしてそばにいる俺に気が付かずに、世間でいうイケメンばかりを追い求めるのか…
ちょっとした小金持ちに、会社の幹部候補生…
自分の人生を誰かに依存させるために結婚相手を探しているようにしか見えない。
本能で好きになって、一緒に笑い合えて、一緒に苦楽を共に出来る人を選べばいいのに…
傷付いて、いつ何をしでかすかわからないかすみが心配で、かすみの母からかすみの部屋の鍵を預かっている。
明日から仕事かぁ…
憂鬱になりそうな日曜日の夜。
僕の携帯が鳴った。
ディスプレーにはかすみ母。
「日向君?
かすみの様子がおかしいのよ。
何か泣いてるようだったし、ありがとうなんて言うものだから…
ちょっと様子見てくれない?」
今までは、かすみがリストカットをする時は、黙って1人で傷付いて、僕の所へ来ては泣いて、頭を撫でてたら…
真っ赤な目で、「バーカ。泣いてね~し…」なんて言うからデコピンをしたら笑っていて…
やっぱりただの幼なじみかって落胆の繰り返し…
母にありがとうの電話なんて初めてで、背筋に冷やりとするものを感じた。
電話に出ろよかすみ…と、願うようにすぐに電話をしたが、コールのみだった。
俺は夢中でかすみの家へと走った。
インターホンを押しても反応がない。
預かった鍵を使うのも初めてで、これで何もなかったらかすみは怒るだろうが、やむを得ない。
鍵を開けて俺は部屋に飛び込んだ。
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