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《かすみside》
目を覚ますと、白い天井、淡い緑のカーテン、真っ白な布団が目についた。
死ねなかったんだ…
そう気付いた時、布団の足元の重みに気付くと、日向が寝ていた。
日向が助けてくれたんだ。
いつも撫でてくれる日向の頭を少し触れると…
涙が止まらなくなった。
今度ばっかりは本当に好きになったのに…
結婚しようと言ってくれてたのに…
私の手首を見た相手の両親に反対されて、すんなり引き下がった彼。
何もかもが信じられない。
結局いつも口だけ、見た目だけの男に捨てられる私…
なんで助けてのよ…
日向のバカ…
寝ている日向の横でひたすら泣いていた。
そして、眠りに落ちそうになり、横になった時、私の頭に慣れ親しんだ手が乗って…
「かすみ…あんまり心配させるなよ。」
心の中では、ありがとうと思う自分がいた。
でも…
会わせる顔がなくて、そのまま眠りに落ちた。
翌朝目を覚ますと、まだ日向がいた。
「日向会社は?」
「休んだよ。
かすみはしばらく入院な。
カウンセリングを受けて、心が元気になったら退院だって。」
「えっ…
じゃあしばらく帰れないって事?」
「そういう事…」
そっか…
仕方ないよね。
「日向…」
「うん?」
「ゴメンね…」
「いいよ別に。
それよりさ…
かすみが元気になったら、二人で昔写真を撮ったあの場所に行こうか?」
「そうだね。」
あの場所かぁ…
どうしてこんなにダメな子になってしまったんだろう。
あの頃はもっと素直に生きてたと思うんだけど…
都会の空気…
私には合わないのかな…
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