ひまわり

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「け、結構いいぞ!? い、いなか暮らしも…」 あたふた慌てる日向が妙に可愛く思えた。 昔、イタズラがバレた時のあたふたした日向のようで… 案外いいかも… 「ばっばかっ! 1人で帰ればいいじゃん。」 「わかったよ。 1人で帰る。 もう、仕事も家も決めたし。 かすみの部屋も用意してあるから、ゆっくり考えればいい。」 はっ? 日向、先走り過ぎ。 私達付き合ってもいない。 その後、私の部屋まで日向は荷物を運んでくれた。 でも、今朝まで無邪気に笑っていた日向はいなかった。 怒ってるような… 拗ねているような… 自分の中では答えは出てるのに、素直になれなくて… 私の部屋からの日向が帰る間際… 「かすみ… お母さんが心配してるから、今週末くらい、実家に帰れよ。 俺、もう荷物はほとんど写してあるから、明日にでも田舎に帰るわ。 もし、俺と一緒になってくれるなら、日曜日の13時に約束の場所に来て欲しい。 俺… かすみの事が好きだから…」 「うん。 ありがとう。」 本当は、今ここで返事してもいいんだけど… 待ってるって言われて、待たなくていいって言うのもどうかと思うし… かといって… なんて言えばいいのかもわからない。 「じゃあな! 待ってるからな!」 「うん。 日向、ありがとね。」 「あぁ。」 日向は無理向き背中越しに手を上げて去っていった。 久々の部屋の中。 さっきまでのやり取りで、帰って来たって実感よりも… 私が追い付けないスピードで日向が進んで行くから、私の頭はフル回転で… ソファーに座って、ようやく少し落ち着いた。 落ち着いたのも束の間で、あの日お風呂を汚したままな事を思い出した。 さすがに、今日はおうちでお風呂に入りたいし… やっぱりあのままだよね… どうしよう… といっても私が洗うしかないよね。 打ちひしがれる想いを胸に風呂場を覗いた。 そこには、私の過ちの痕跡はなく、綺麗になっていた。 やっぱり、私は日向に支えられてたんだね。 ずっと、ずっと…
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加