ひまわり

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約束の週末がやって来た。 お母さんの所へ帰れって言われても… どんな顔をして会えばいいのか… ごめん…日向もう一度甘えさせて。 日曜日、約束の場所に行くから、その後一緒に帰ってよね。 結局、日向の優しさに勝手に期待して、私は日曜日の朝の新幹線に乗った。 実家には帰らずに、直接約束の場所へと向かう。 手にはひまわりの花束を持って。 約束の場所… 地元の大きな公園の広場。 芝生の丘の上。 ここで子供の頃からよくみんなで遊んだ。 星空を何度も見に来た。 上京する前、日向に呼び出されて意味不明な記念写真を撮らされた。 上京記念とかいって… それなら東京で撮るべきでしょって言ったら… 「あっ!?」 と言いながら変なポーズをとってふざけていた。 あれから何年も経って、入院した日また写真を撮ろうって約束をして… 思えば巡り巡って、いっぱい傷付いて… 結局最後に私は身近な日向の元へ戻って来た。 きっとここに辿り着く為に気付いたのかもしれない。 私は、懐かしい景色と、懐かしい匂い。 空を見上げて目一杯息を吸い込んだ。 すると、急に私は膝が抜け、後ろに転びそうになった。 すると、後ろからふわりと受け止められた。 「どうして、膝カックンなのよ!」 怒って振り返ると、日向は3歩程逃げて、昔と同じふざけたポーズ。 面白くなって、不覚にも笑ってしまった。 「おかえり、かすみ。」 「ただいま、日向。 これあげる。」 ひまわり… これからは日向、あなただけを見つめているから… 「ありがとう。 俺がひまわり持って言った意味わかった?」 「さぁ?どうだろう。」 やっぱり恥ずかしくて私、好きって言えない。 今までありがとうも… これからもよろしくねも… 「日向、私のひまわりの理由なんて聞かないでね…」 「はいはい。 来てくれてありがとう。」 ~終わり
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