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「あっ…もぅ、りょーちんってばぁ、もぅやめて…」
美琴くんの姿が見えなくなっても止めようとしないりょーちんの指の動きに、俺はもう立って居られなくなりそうだった。
「やだって言ったら?」
「こんなところで…、やめて…よぉ」
ここ、公園なんだよ?
犬の散歩してる人やジョギングしてる人もいるのに…。
まだ気づかれてないとはいえ、こんなことしてたら気づかれるのも時間の問題…。
「じゃトイレ行く?」
「あー!もう!いいかげんにして!」
ニヤニヤして言ったりょーちんの腕を、俺は深く息を吸い込んで思いっきり振りほどいた。
「冗談が過ぎるよ、りょーちん!」
呼吸を整えてりょーちんを睨み付ける。
「冗談じゃないのは昨日でよく分かったろ?」
うっ、
言い返されて言葉が出ない。
「美琴くんとの話全部聞いてたんだけど、あの弟とシタって?」
「いや、それは…」
低くなったりょーちんの声が怖い。
「俺にはさせてくれねーくせに?」
「だから、それは…」
どうしよう?全然言い訳がみつからない。
「葉があいつに好きなようにされてるのムカついてるって言わなかった?その上セッ○スまでとか…、俺に見せた涙は嘘だったのかよ?それとも、やっぱりあいつが好きなのか?」
「違うよ、りょーちん。俺は碧のことなんて好きじゃない」
「じゃ、なんでシタんだよ?それとも無理矢理か?」
無理矢理なんかじゃない。
けど、きっと何を言っても、りょーちんは納得なんてしない。
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