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「美琴くん、これで分かった?俺たち付き合ってんの」
「付き合ってなんあっ!」
否定しようとした俺の胸の小さな粒を、肩から腕を回していたりょーちんの指がキュッと摘まんだ。
「あっ、やっ、りょーちん!」
なに食わぬ顔でこねくりまわすりょーちんを見上げる。
「話、合わせとけよ」
そんな俺の耳許にキスする振りをしながら、りょーちんが美琴くんに聞こえないような小声で囁いた。
「え?付き合ってるんですか?」
キョトンとした表情を見せた美琴くんは、止めようとしないりょーちんの行動を見て「本当だ」と呟いた。
「ま、こういう訳だからさ、葉の有り余る性欲も俺が責任持つから安心しなよ」
「三上先輩がそう言うなら…」
「分かったならもう行きな。あの弟も駅に来る頃だ」
りょーちんに言われて、美琴くんはスマホで時間を確認した。
「じゃ、僕行きます。お兄さん、何かすみません。まさか三上先輩と付き合ってるとは知らなくて…。三上先輩が相手なら大丈夫そうですね」
なにが、どう大丈夫なんだよ?
とか、問いかける余裕は俺にはなかった。
「そういうこと。じゃキミも頑張ってね。勉強解らないとこがあったら教えてあげるからいつでも言いな」
「はい!ありがとうございます!」
深々と一礼をすると、美琴くんは慌てたように駅に向かって走って行った。
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