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「あ、あおいくん?一旦落ち着こう。こういうことはね?お互いの気持ちが一番大事だと思うよ?こんな強引にしても碧くんも気持ち良くないんじゃないかな?」
なんとか説得を試みてみる。
「それに俺、痛いのすげー苦手だし、泣き喚いたりしたらカッコ悪いじゃん?っていうか、ほら、あれ。あれだよ!威厳!兄としての威厳がさ!」
「兄?」
兄という単語に碧がピクリと反応したのを、俺は見逃さなかった。
「そう!兄!碧の兄として、俺はいつでもかっこ良くあり続けたいんだ!」
自分でも何をそんなに力説してるのか訳わかんないけど、この際何でもいい。
「弟になったばかりの碧にそんな情けない姿見られたら俺は立ち直れない!そんな兄で碧はいいのか!?否!碧はかっこいい兄が欲しいに違いない!そんな碧が望むような兄に俺はなる!!」
「ぷっ。ははっ!兄さん、必死すぎ」
力拳を握りしめた俺の様子に、碧は押さえ切れないように声を立て笑った。
あ、笑った。
こいつ、笑うとまだまだガキっぽくて可愛いんだよな。
「でも、それって俺を弟と思ってくれるってことだよね?」
え?
そういうことになるの?
俺、弟なんていらないよ?
可愛い可愛い一人っ子の方が断然いいに決まってんだもん。
「あれ?違うんだ?兄さんになる気がないなら別にカッコ悪い姿見られても平気だよね?」
そう言って、一度は離した俺の脚を掴み直すと、碧はさっきの続きを始めようと視線をソコに向けた。
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