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「せっかく三上が助けてくれたのにな?」
その聞き覚えのある声にサーと血の気が引いていく野々宮くんが恐る恐る振り返ると、そこには店長が立っていた。
「うぎゃー!てんちょー!」
「おら、今度は逃がさねーぞ」
速攻で逃げ出そうとした野々宮くんの襟首を掴んで店長はニヤリと笑みを浮かべた。
「いやだー!助けてー!立花くーん」
だから先に謝ったでしょ。
俺じゃ無理なんだって。
「じゃ立花。迷惑かけるけど後頼むな」
「はい、どーぞお好きになさって下さい」
諦めの悪い野々宮くんがまだジタバタ暴れてるけど、店長はそんなの気にも止めずに引きずって行った。
「うわーん、立花くんの薄情者ー!」
そんな野々宮くんの声が虚しく響いていた──。
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