第1話

カレーライス

彼女の病状は悪くなる一方。入院中毎晩お見舞いに行っていたお兄さんも疲れのせいか
心臓発作で倒れてしまいました。過労、ストレス、妹の世話、並大抵のことではなかったでしょう。でも彼は直ぐに退院して薬を飲みながら妹の世話にかかりきりの生活に戻りました。

私がお見舞いに行ったときも彼女は食欲はなくて点滴受けてました。しかし3度3度運ばれてくる食事はシチュウやパン、果物、ヨーグルトや牛乳やジュース。自分で動けない人が
一人で食べれる物じゃないなっておもいました。もちろん本人は点滴受けてるしモルヒネ
受けてるし、口から食事を取れる状態じゃなかったと思う。何か食べるって言っても首を
横に振るだけ。

だんだん落ち着いてきてからだの筋肉を元に戻すためのリハビリもベットの上ながら
始める事になりました。ああ良くなってきているのかも。

元気になったら又一緒にタイ料理のレストランに一緒に行こう。そしていつか一緒に
カリブ海の真っ青な海を一緒に見ること。二人で日本に行って本物のお寿司食べること
。色々話しました。

突然自分の携帯を取ってって言って親類や友人にメールしたり電話してました。

それから一週間後の夜中彼女は眠りながら息を引き取りました。一緒にいたお兄さんが
気がついて医者を呼びに行き医者が診察した段階でもう息は無かったそうです。

彼女がこの世を去って半年。私はしばらく彼女の携帯番号やメルアドを消せませんでした。
毎週水曜日の夜も何もする気に慣れなくて。でも彼女はこんな私を見たくないだろうな。
私が彼女の分まで生きて、カリブの青い海を見に行くよ。天国から応援してね。

今日は彼女が苦手だった日本風カレーライスの夕飯です。天国から怒鳴ってるかな、笑ってるかな。