プロローグ

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もしも、もしもこの世界に宇宙人が存在したのなら。 今現在、この地球には宇宙人の存在は確認されていない。 存在が確認されているのは多岐に渡る人種をもつ地球人のみだ。 この地球人という人種、いったい如何なる理由で発生したのか我々には想像もつかないが彼らの頭脳では突然変異による発生という結論が関の山だろう。 もっとも、我々には関係のない話だが。 もっとも、と奴は言った。 今ここで、奴の話を聞いている多くの者たちは地球とはなんの縁もない者ばかりだ。 なんの縁もないのに奴は何故地球の話をするのか。 それはきっと、奴が地球出身に他ならないと考えた者がいた。 それはきっと、奴が戦争好きだからだと考えた者がいた。 いやいや、それは奴がいい奴だからじゃよと誰かが言った。 なるほど、と分かっているのか分かっていないのかよく分からない雰囲気の声色で同意をする者がいた。 我々はーーーー、 奴の話が始まった。 また長い長い演説を聞かなければならないのかと思うとため息を吐きたくなる。 でも誰かの話ってそういうものでしょう?という女がいた。 そうか、とここで初めて理解したうえで納得する者がいた。 奴は言った。 我々は、これから地球に総攻撃をかけにいく。 もしあの星が反撃の意図を見せたら迷わず破壊してくれて構わない。 我々の目的はあくまで総攻撃をし、彼ら地球人をこちらに引き寄せること。 決して、間違っても地球人の味方につくな。 彼らは恐ろしい、我々にとって恐怖の対象だ。 奴のその言葉に、何人かが拳を掲げた。 それについていくように、他の何人かも同じようにする。 宇宙歴2569年。 地球に、脅威が迫りつつあった。
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