piece2

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落としたのだろう、蜘蛛の巣のようなヒビの入ったスマホの画面。それでも操作が出来るのだから凄い。そこにLINEのトーク画面が表示されている。 左上に『こうた』とあり、それが森本航大とのトーク画面だと分かる。背景には彼の横顔が貼られている。そして吹き出しの中にあるメッセージ。その最新のメッセージに、短く「たすけて」とあった。 その前には、僕達が彼の部屋に入るまで続けられていたやり取りがあり、ずっとスマホを持っていた事が分かる。だから彼は、スマホと一緒に消える事が出来たのだろう。 「探さなきゃ」 遥香は、泣きそうな顔でそれだけ言うと、僕の返事も待たずに走り去ろうとする。僕はその腕を掴み、彼女に週末まで待つように言った。すぐに行動に移して、結果、森本航大とすれ違う可能性もあるからだ。 それに週末まであと二日。明後日、朝一で僕も一緒に行く事を約束すると、不承不承ながらも漸く彼女は納得してくれた。 更に念を押してから彼女を帰すと、溜息を吐きながら祖母に連絡を入れる。この週末に帰る事と連れがいる事、それと恐らく泊まる事になるだろうと伝える為だ。 祖母は訝りながらも連れの事を詮索する事もなく、快く了承してくれた。
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