piece1

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「ご覧下さい! この映像を!! 今回の事件で唯一、生き残った少年のものです!」 突然、そんなけたたましい声が僕の意識に入り込んできた。目を開くと、目覚まし代わりにしているテレビが、その与えられた役割を立派に果たしたところだった。そこに感謝する事などなく、僕はあまりの喧しさに辟易しながら、リモコンで音量を下げる。それでもアナウンサーのやや甲高い、捲し立てる声は、十分に耳に入ってきていた。 テレビの画面には、数週間前から世間を賑わしている事件が映し出されている。現場をヘリコプターから撮影した映像や、現場から押収された品々──どういう目的で使われたか想像したくもない、黒ずんだ鋏や包丁のようなもの──などだ。そこに新しく入手されたと思われる、今回、唯一の生存者である少年の写真が、画面いっぱいに映し出されていた。それに対して、アナウンサーが興奮気味に話していたのだ。 それは少年の腹部と背部の、二枚の写真だった。しかしそこには、少年らしい瑞々しい肌は写っていない。代わりに、角の生えたドクロや星のような模様、黒く大きな鳥といった、黒魔術を思い起こさせるような絵が刻まれた、醜い皮膚が写っている。それらが、少年の赤黒く腫れ上がった皮膚の上で、のた打ち回るかのように、浮かび上がっているのだ。 「なんて酷い……本当に、よく生きていたものだと思います。少年は、発見当初はショック状態で、命を危ぶまれていましたが、現在は小康状態にあるとの事です」 今、日本中の殆んどの人が、この少年の安否を気遣っているだろう。 そして、少年が発見された場所の、異常なまでの凄惨さに、誰もが注目し、あまりにも不可解な事件に、誰もが様々な憶測を広げていた。
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