学ぶべきこと

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オレンジハットが事前に得ていた情報は、スペンサーとそれほど変わらない。 七つの塔を研究するアレン・ギレムホールには付き人がいること。その付き人が、彼を組織から遠ざけている。 こうして対峙しても、ヴィッキーの正体にはたどり着けない。だが、オレンジハットにとっては彼女のことなど、意に介す必要はなかった。 「下で戦いを繰り広げているのは二人の″エール″。彼らの指示で、君達は戦場を離脱したんじゃないの?」 どうやらオレンジハットは、スペンサーとロベリアが探検部隊と争っていた現場を見ていたらしい。 そこで、混乱と動揺、恐怖に呑まれたアレンが独りでに走り出し、逃亡するのを待っていたのだ。 が、アレンが戦線離脱を計ったのは誰かに指示されてのことではない。 戦場にいた者達の声は、どこかで見ていたオレンジハットに届いていないようだ。 「……奴らは関係ない」 「そうかなぁ? 組織を嫌う者同士で協力し合うことは賢い選択と言えるけど、組む相手は考えるべきだと思うよ?」 全てを見透かしたような態度に、ヴィッキーの眉が動く。 オレンジハットと対話をした者は皆、同じ感情を抱くことになる。彼は相手の話を聞いているようで、実際は自分の話したいことだけを述べているのだ。 「……だから、テロリストである貴様に手を貸せと?」 「″エール″に協力した時点で、テロリストに手を貸したと同意義だよ。組織を抜けた七人の中には、″猛毒と共に歩く男″がいる。彼らも僕達とあまり変わらないさ」 「そ、そうは思わない」 詰まりながらも口を挟んだアレンは立ち上がり、前に立っているヴィッキーの肩に手を置いた。 「僕は真剣に七不思議と向き合い、生きてきた。少し話した程度だけど、彼らも同じものを持っていると思う」 意思表明を告げるアレンの顔を見て、ヴィッキーは刀を構えつつ、少しだけ横に移動した。 「同じもの?」 「″ブラックオベリスク″に対しての敬意だよ」 言われたオレンジハットは、左手を口元に当てて嘲笑をこぼした。 「僕にはそれがない……そう言いたいのかい?」 再び帽子に手を当て、深く被り直す。 「だから、君に研究資料は渡せない」 アレンは身体を震わせながら、はっきりと言い放つ。
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