学ぶべきこと

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″ブラックオベリスク″についての考察は、三つの派閥に分かれることになる。 一つ目は″墓標説″。これは、″聖書″に関連する七人の墓そのものが、″ブラックオベリスク″ではないのかという予想だ。 ″聖人″は皆、同じ時代を生きていた。この仮説は広く知られているが、″聖書″を始めとした文献に事実だという記述はない。 それを信じるかどうかで、″墓標説″に対しての意見は大きく変わる。 雪山にそびえる七つの塔、その一つ一つが、″聖人″一人一人の墓であるという考え方。 事実、ロック・インカエールを除く六人は青銅像こそ建てられているものの、死体は見つかっていない。 黒き塔の下に、エールを含めたそれぞれの骨が眠っているのではないか。 賛同する者、反発する者、信じられる要素と発生する矛盾。未だ数々の意見が飛び交っている。 二つ目は、″祭壇説″。 ″ブラックオベリスク″は、ただの建造物であるという考え方。七つの塔そのものに意味はなく、そこで行われていたことこそが、謎の正体ではないかという考え方。 何が行われていたのか、誰が行っていたのか、問題点はいくつもある。 しかし、この説は″聖人″達が同じ時代を生きていたという予測が、事実でなくても構わない。 そして、ロック・インカエールが遺した″聖書″の第五章【原罪完罰】にて語られる、″戒めの儀″の始まりが、バレート山脈からだという記述に基づいている。 ″戒めの儀″は、内容の語られていない古代の儀式。ロック・インカエールが発案し、世に広めたとされている。 一切の詳細が見つからない儀式を行っていた場所が、また、儀式を行う為に、″ブラックオベリスク″が存在しているという考察。 ″戒めの儀″こそが、″聖人″の持っていた力を呼び覚ます方法などと言われ、信じる者も多い。 三つ目は、″兵器説″。 ″ブラックオベリスク″は、大昔に封印されし古代兵器であるという考え方。 秘められた力を解き放った者が、七つの塔に隠された秘密を手に入れることができるというもの。 これは″聖書″と、ゾーゾード・ヘクシテルマーセットが遺した″魔暴乱譚(マボウロンタン)″、ロック・インカエールが遺した″雪原冒険記″の三つから基づく考え方。 多くの探求家は書物を照らし合わせることで、一つのストーリーを見出だそうとした。 しかし、数々の矛盾が発生してしまう。
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