8122人が本棚に入れています
本棚に追加
ロベリアは、オレンジハットと初対面。彼女もまた、皆が抱く感情を覚えている。
「まぁいいさ。どうせウデロンでの戦いが始まれば、欠片は七つ揃うんだ。君のおかげで、組織は五つを持ってる。強行手段に出るなら、残りを持ってる人は参戦する以外にないからね」
インフィニティは十年前から二つの欠片を所持していた。
当然、彼らは試した。欠片を塔に近づけることで、何かしらの変化が起こりうるかも知れないと。
しかし、二つでは何も起きなかった。が、五つなら。もしかしたら、変化があるかも知れない。
それを黙って見ているのは、はっきり言って馬鹿である。
″墓標説″が真実なら、全員ではなくとも″聖人″の亡骸が発見されてしまう。
″祭壇説″が真実なら、″戒めの儀″についての何かが発見される恐れがある。または、儀式を再現される可能性がある。
″兵器説″が真実なら、完全ではないが力が解き放たれる。
欠片の所有者は必ず、これからやってくる雪山の戦いに繰り出さなくてはならない。
「ひとつ、いいことを教えてあげよう。君からも少し情報をもらいたいんだ」
「情報交換か? するか馬鹿」
「現在、ウデロンには幹部ランパード率いる防壁部隊、シェルターが配属されている」
スペンサーは拒否したが、オレンジハットは構わず喋り続ける。
「問題は彼らの他にもう一人、幹部が到着したことと、その幹部の部隊が陣を敷いていることさ」
オレンジハットを含めた洗浄同盟は、テース事件の時点で八人の幹部を調べあげていた。
スペンサーはブラックペッパーからそのことを聞いた。そしてデッドクロスがいなくなったことで、情報が無い幹部は三人に減っていることもわかっている。
「コードネームも、部隊名も、役割もわからない。要は組織の隠し球と呼べる戦力が、シェルターと合流していることだ」
「誰がいようと潰すだけだ。ビビってんなら″傲慢″渡して引きこもってろ」
「威勢がいいね。でも組織を舐めてはいけない、君はデッドクロスを倒して、ちょっと天狗になってるのかな?」
肩をすくめるオレンジハットの態度に、スペンサーの苛立ちは募る。だが無視はできない情報だろう。
これから行く先で、待ち構えている敵なのだから。
最初のコメントを投稿しよう!