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葉月を残し走り出したタクシーの中。
俺は大きなため息をつきながらシートに背中を預けた。
止められなかったキスの余韻が、まだこの身体を熱く火照らせている。
冴子と別れてから今日まで、こんなにも身体が女を求めたのは初めてで。
あれが自分の家ではなかったことが、逆に俺を救ってくれた気がする。
もしも今、葉月と二人だけになったとしたら。
きっと俺は葉月が壊れるほどに激しく抱いてしまう気がする。
冴子と敵対している専務派閥の湯川がいたのに、あんな失態を犯した自分と押し隠せなかった男の性に失笑するしかない。
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