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「ああ、おまえのよくわかんない攻撃はちゃんとカザンの野郎に届いたよ」  片方の目に光を集め、ジョージがクニを見つめた。 「ぼくのてのひらが当たったのはどこだ? 腕や脚ではないよね」  クニが戸惑(とまど)っている。 「いや、実はおれにはなにがどうなったのか、ぜんぜんわからなかった。なぜか、急にカザンが倒れて、四つん這(ば)いになってたけど」  タツオが割ってはいった。 「ぼくには見えた。ジョージの勁はカザンの胸の中央、やや左のあたりに当たっている。カザンはしばらく胸を押さえて倒れていた。カウントは9までいったよ。もうすこしでノックアウトだ」  ジョージはそれで安心したようだった。 「東園寺(とうえんじ)くんはひどく汗をかいていなかったか?」  クニがおどけていった。 「ああ、シャワーを浴びたみたいに汗だくだったよ。あの一撃は汗のつぼでも突いたのか。氾(はん)の拳法はおっかねえな」
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