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 タツオは最も重要な質問をきくことにした。自然に声が低くなる。 「……あれは、ジョージが昔いっていた第3の発勁だったのか……自分の命をかけて、相手を殺すつもりで放つという」  ジョージの目が真剣になる。 「そうだ。ぼくも生まれて初めて人に対して使用したので、どんな結果になるかはわからない。どれくらいの勁がカザンに流れこんだのかも、見ていないので予想もつかない。だけど老師はいっていた……」  タツオは息を呑んだ。自分も同時に死に、相手を殺すつもりで打つ最凶の発勁。 「あの禁じ手はあとになってだんだんと威力を発揮する。そのときまでに遠く逃げ延びなければならないと」  効力が最大限に発揮されるまでに、数日もかかるという技なのか。身体の表面でなく、内部組織を破壊するのかもしれない。それも組織を潰(つぶ)すというより、循環器系や制御する神経への根深い一撃なのだろう。
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