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外に一歩踏み出すと、参列者が創り出すライスシャワーと粉雪に迎えられた。
一瞬目の前に広がった白い世界に目を瞬かせて、私はゆっくり鳴海を見上げる。
隣で立ち止まった鳴海は、私に柔らかい笑顔を向けてくれた。
祝福の鐘が鳴り響く中、ゆっくり鳴海と一歩を踏み出す。
顔を横に向けると、華絵や松本さん、そして颯汰君の笑顔も確認出来た。
みんなに笑顔で応えながら、鳴海の腕にしっかり掴まって、一歩ずつ歩を進める。
これ以上の幸せに向かって。
直ぐ隣の温もりだけを信じて。
大きくて広い、私と鳴海の幸せの未来に向かって。
踏み出した一歩は、一生揺るがない幸せの誓いになる。
一歩ずつ同じスピードで。
これからもずっと、一緒に鳴海と歩いて行けたなら。
鳴海が同じ気持ちでいてくれるのを確認するように、私は鳴海の袖をクッと引っ張った。
それに気付いた鳴海が優しく笑う。
そして、腰を屈めて私に顔を寄せる。
祝福を受けてキスを交わす私達に、冷やかしの拍手と歓声が湧き上がった。
それを聞きながら、鳴海は私の肩を抱き寄せる。
私は鳴海に寄り添った。
そして、お互いに目を合わせて、ニッコリと笑い合う。
降り出した雪はいつしか止んでいた。
ふと空を見上げると、雲間に射した太陽の光が、柔らかく柔らかく地上に降り注いでいた。
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