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仕事で私を対等に扱ってくれた。
いつも余裕で絶対的な信頼を置けるパートナー。
時々真っ直ぐに向けてくれる笑顔が、とびきり魅力的。
鳴海の隣は居心地良くて、私はいつも、飾らない自分でいられた。
仕事のパートナーってだけじゃなく、個人的に距離が狭まってくのを意識した頃は、姿を見かけるだけでもドキドキした。
『俺と付き合わないか?』
はにかむように笑った鳴海の言葉、私は忘れない。
何をどう数え上げても、『嫌い』なんか全部受け止められる。
私の心には、『好き』しか残らない。
それなのに、私はどうしてーー
まだこみ上げてくる涙を飲み込むように、勢いよくビールを煽った。
ゴクゴクと喉を鳴らして、ただ缶を傾ける。
はあっと大きく息を吐いた途端、空きっ腹のビールが効いたのか、胃の中がグルグルするのを感じた。
せり上がって来る嘔気を堪えて、バタバタとトイレに駆け込んだ。
目に涙を浮かべながら、床にへたり込んで、ゴホゴホと咳き込む。
荒い息を整えて、私は大きく深呼吸した。
「……鳴海ぃ……」
小さな電気の下で、抱えた膝に額を埋めて、心の熱情に自分を委ねてみる。
やっぱり、大好き。
このままいつか関わりが無くなって行くなんて嫌だ。
自分でちゃんと心の意志に気付いて、私はグッと唇を噛んだ。
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