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現実問題の一つ。離婚ともなったら家族に報告しない訳にもいかない。
電話で伝えた途端、うちの家族はパニックに陥った。
お母さんは慌てまくって、日本語とは思えない意味不明な言語で私を宥めた。
お兄ちゃんは何故か鳴海を労うように、『人生の墓場に埋もれずに済んで良かったなあ』と、しみじみと呟いた。
顔合わせの時、鳴海を見て目をキラキラさせた妹は、心底残念そうに『え~!!』と奇声を発した。
そしてお父さんは上機嫌。
非の打ちどころのないハイスペックな娘婿というのは、父親にとっては相当目障りな存在だったらしい。
そんなてんでバラバラの反応を返した家族に、『二人で報告に来なさい』と声を揃えて言われてしまった。
そこは無視し続ける訳にもいかず、私も渋々了承した。
私だって鳴海のご両親に挨拶しなきゃいけない。
それを想像したら、初めてのご対面の時以上に、緊張で胃が痛くなって来た。
突然の離婚の後始末。
予想外の出来事を一つずつ片付けていたら、慶弔休暇はあっという間に消化し切ってしまった。
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