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そんな私の反応に、今度は松本さんの方が苦笑した。
「保科と寄り戻すのか? ……まさかとは思うが、沢尻ってことはないよな」
「松本さん」
「まあ、それが一番スッキリする結末なんじゃねえか? お前みたいなバカ、同じくらいバカな保科じゃなきゃ、釣り合い取れないだろう」
「ば、バカって」
思わずムッとして言い返そうとして、私はきゅっと口を噤んだ。
「松本さん、ありがとうございました。それから、ごめんなさい。
……私、やっぱり鳴海じゃなきゃダメだってわかったんです」
もう一度言葉を続けて謝ると、松本さんは軽く俯いて息を吐いて笑った。
「……何謝ってんだか。元々それが正しい形なんだから、俺に謝ることないだろ」
顔を上げた松本さんは、スラックスのポケットに手を突っ込んで、私を意地悪く覗き込んだ。
「それともなんだ? ちょっと俺と遊んでから、保科に戻るか? そのくらいしても、罰は当たらないだろうしな」
スッと頬を指でなぞられて、私は慌てて松本さんから一歩距離を置いた。
松本さんは、私の反応に肩を揺すっておかしそうに笑う。
「冗談だよ、冗談」
「も、もうっ……!!」
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