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「あのね、半年くらいは行ったっきりなんだって。太陽君、半年間よろしくお願いします。あ、鍵はねヒナさんから預かってるから大丈夫だよ!ねえ太陽君、お腹空いた~」
「…………わあったよ。そこ、邪魔だから退け。すぐ出来るから、座って待ってろ」
結月が生まれた時から可愛がって来たんだ。頼まれれば、条件反射のように頷いてしまう自分がいる。…………ちょっと甘やかし過ぎたか。
だけど、嬉しかったんだ。コイツが生まれた時、弟が生まれたって思った。幼稚園で友達が兄弟の話をする度に、羨ましいと思って。だけど、俺にはヒナと平ちゃんがいるから大丈夫だって自分に言い聞かせてた。
そこに生まれたのがコイツだ。大好きな塔子さんから生まれたコイツに初めて会った時。ふにふにと柔らかい小さな身体を真っ赤にして泣く姿を見て、コイツを守ってやるのは自分だと思った。
結月は俺の可愛い弟。
ずっとそう思っていた。
でもお前は、違ったんだろ?結月。
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