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通学途中にいつも出会う彼がいる。彼といっても付き合っているとかそういったモノではなくて残念なくらい・・・多分片想い。
アパートから大学に向かう道の途中にある公園。そのベンチに腰掛けて何をするでもなくいつもぼんやり通りを眺めている。
面長の顔に切れ長の瞳。ちょっと薄めの唇。どことなく物悲しい表情を浮かべた物言わぬ私の王子様――。
「ハァッ!?王子様?何よ、ソレ・・・」
「王子様だから王子様なの」
大学のテラスから芝生を見つめ、彼の姿を思い出しうっとりしていた。まぁ、それもこれも初めて美穂に「合コン行かない?」なんて誘われて断ったらそのまま「好きな人いるなら教えなさいよ!」・・・なんて言われたから言っただけ。
なのに思いっきり驚かれるなんて言わなきゃ良かった。
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