922人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
ちゃんと断ろうと思って正面玄関で西川課長を待った。
「ごめん、待たせたね」
少しだけ息が弾んでいる課長が私の前に来て笑顔を見せた。
「そんなに待ってないですし……。課長、すみません。本当に大丈夫なんです」
「……具合が悪いって、嘘なんだろ?」
彼の言葉に目を伏せて、私はゆっくり頷いた。
「すみません。だから……」
「じゃあ、体調も気にせず飲めるってわけだ」
「え?課長……!?」
「いいじゃないか。何があったか知らないが、たまには一緒に飲みに行ったって」
「課長……」
「嘘ついた罰に付き合ってもらうよ」
課長はそう言って笑顔を見せた。
だけど、
その笑顔とは裏腹に、
今日の課長にはいつもはない……
強引さがあった。
最初のコメントを投稿しよう!